マイクロアクチュータを使用した薄膜金属材料疲労試験

摘要

近年，MEMS技術は，様々な分野に応用されている．MEMS技術の発展にともない，用いられる微小材料の特性を知ることは，益々重要になっている．また，多種類のサンプルを高速，高効率に評価できるハイスループット評価法の研究がなされていたが，MEMSの設計に重要な疲労強度のハイスループット評価法に関しては，未だ十分な研究は行われていない．薄膜材料の疲労強度を測定する方法には，従来の疲労試験機を用いて測定する方法があるが，繰返し荷重の周波数は100Hz程度が主流であり，一度に測定可能な試験片は1つである．したがって，従来の疲労試験機は，ハイスループット評価には適さない．また，マイクロアクチュエータを用いた，10kHz以上の疲労試験の研究もなされているが，製作プロセスの制約上，Si系材料など，試験可能な材料が限定され，多種類のサンプルの測定までには至っていない．そこで本研究では，多種類の薄膜金属材料を評価が可能であり，かつ5kHz以上の高周波数の測定が可能な，ハイスループット疲労試験の実現を目指し，その基礎検討を行うことを目的とする．