匂い強度を増幅する装置の基礎的研究（短時間で匂いを脱着する装置の試作）

摘要

人間は，他の生物に比べ嗅覚が退化していると言われるが，それでも日常生活において様々な場面で嗅覚を利用している．空間を漂う匂いは，時として他の感覚では認識できない情報を人間へ伝える．都市ガスに添加された匂いは，微かなガス漏れを人間が検知することを可能にする．また，飲み物や食べ物の香りは我々の感じる「おいしさ」と非常に強い関連性を持ち，清涼飲料水などでは香料を用いて果物の味が再現されている製品も多い．しかしながら，人間の嗅覚は病気や老化によりその感度が衰える．嗅覚の感度が衰えると，食べ物の味を感じにくくなって生活の質が低下したり，周囲の異臭に気付くのが遅れる要因となる．現在，人間の鼻と同様に多様な匂いの識別を行うセンサの開発を目指し，様々な研究が行われている．しかし，人間の鼻自体の感度を上げる装置の研究はほとhど行われていない．