体外受精の着床率向上を目指したScaffold-Free Tissueの使用とその評価

摘要

近年，晩産化の進行によって様々な不妊問題が深刻化しつつある．これらの解決を目指し，体外受精をはじめとした様々な不妊治療法が確立されつつある．しかし，これらの治療法はまだ完全なものとは言えず，問題がまだまだ残されているのが現状である．そこで本研究では不妊治療の一つである体外受精に着目し，この治療法の成功率向上を目指している．体外受精における一番の問題点は，対象患者の年齢が高齢化すればするほど成功率が低下するということである．特に40代後半になるとその成功率は10%を下回る．こういった問題が生じる原因として考えられる一番の要因は，歳をとることによる子宮組織や卵子細胞の老化である．これらが老化することによって，体内で受精卵がうまく成長出来ず着床が失敗に終わる．こういった患者に対する解決策として，移植する前に極力受精卵を成長させてあげることが考えられる．本研究では，この組織を利用することが受精卵の培養に有効的であるか調べるために，受精卵のみを培養したもの，単層細胞と共培養したもの，そしてSFTと共培養したものの3条件において実験を行い検証する．