新規に合成したオイルゲル化剤による磁気粘性流体の沈降安定性

摘要

磁気粘性流体（Magnetorheological Fluid：以下，MR流体と書く）は外部磁場によりレオロジー特性を可逆的，かつ連続的に制御できる機能性流体である．MR流体はオイルを分散媒として，1～10μmの磁性粒子を分散させたスラリーであり，磁場印加によるレオロジー特性の変化が特に大きいことから，各種ダンパ，ブレーキ，クラッチ等への応用が期待されている．一方，磁性粒子の粒径と比重が大きいため，静置しておくと磁性粒子が沈降するという課題がある．これを防止するためにオイルの粘度を高める方法が考えられるが，極端な高粘度オイルの使用は現実的ではなく，特に高せh断領域（一般的にはせh断速度は1000s~(-1)以上）において低粘度であることが好ましい．そのため，例えば自動車用ダンパなどへ適用する場合は，一般的に40°C粘度で0.01～1Pa·sが望ましいとされている．