細胞内pHの蛍光計測と冷却による植物細胞内pHの推移

摘要

蛍光を利用したpHiの計測に関して，ばらつきの少ない信頼性の高い結果を得る手順を系統的に検討した結果，生画像と蛍光強度のレシオ分布画像を照らし合わせることにより，pH値のばらつきを抑えられる可能性が見えてきた．しかし，まだ可能性の段階であるため，今後さらに実験を行い，蛍光によるpH計測のキャリブレーション手法を確立する必要がある．また，今回はこの手順を用いて，冷却過程における植物細胞の細胞質基質のpH推移を計測した．その結果，冷却速度によるpH推移の傾向に違いを見ることができたが，実験開始前の初期pHの差異が大きいなどの課題も見つかった．より汎用性の高いpH算出の手順を確立するために，今後も引き続いて，別の植物組織を用いた実験を行う予定である．最後に，この研究を進めるにあたり、岩手大学農学部寒冷バイオフロンティア研究センター河村幸男准教授には貴重かつ親切なご助言をいただいた．ここに記して感謝の意を表する．