高級アルコール水溶液を用いた樹脂製微細流路内の衝突流沸騰

摘要

近年CPU等の電子デバイスは高性能化と小型化に伴い，単位面積当たりの発熱量が上昇し続けている．そこで，その発熱した部品を効率良く冷却する方法として，発熱体に流体を衝突させ冷却する衝突流と沸騰伝熱を用いた冷却方法に着目した．作動流体に関して，Vochtenらの研究により炭素数4以上の高級アルコール水溶液は純水などの通常の溶液とは異なり，温度上昇に伴い表面張力値が減少から上昇に転じる性質があることが分かっている．その特異な表面張力特性に起因して，伝熱面の方向に対流が生じ，伝熱面のドライアウト抑制や伝熱特性の改善に良い影響を与えると考えられる．本実験では，伝熱面を衝突流により冷却する方法において，高級アルコール水溶液を用いて，溶液種類による差異を比較し検討する．また気液界面と伝熱面付近のマランゴニ対流を再現するCFDモデルから，実験結果との関連性を考察することを目的とする．