高性能コーティングに関する塗膜下腐食及びふくれ発生の可視化とインピーダンス挙動解析

摘要

大型構造物に用いられる鉄鋼材料は，経年劣化により腐食が進み多くの危険をもたらすため，様々な防食対策が必要となる．しかし，腐食要因は金属側と環境側に無数にあるため完全な防食システムを構築することは困難であり，鋼構造物の場合，コーティング等を用いて材料を腐食環境から遮断する方法がよく用いられる．このような防食システムを適用している事例の一つとして石油タンク内面の底板部が挙げられる．現状ではコーティングの経年劣化，底板溶接部の傷·割れ，底板裏面腐食等による石油流出を未然に防ぐため，消防法により8年ごとに開放検査が義務付けられている．この開放検査には約1年もの期間と2億円以上という莫大なコストがかかることから，技術的根拠に基づく検査周期の最適化が求められており，そのためには塗膜下腐食やコーティング劣化の定量的評価手法の確立が必要である．現在検討されている有望な非破壊的評価方法としてインピーダンス法がある．しかし，塗膜下腐食及びふくれ発生のメカニズムとそれに伴うインピーダンス挙動は未だに明らかにはなっていない．そこで本研究では実タンクのコーティング調査及び実験室的加速劣化試験を行い，インピーダンス法を用いたコーティング劣化メカニズムの解明を目的とした．