防水を目的とした低摩擦リップ式回転軸シールの開発

摘要

回転軸部での気体と液体の分離を目的に回転軸シールは，自動車や家電製品など様々な機械装置に使用されている．近年，技術の進歩によって機械装置の使用環境が多様化し，回転軸シール対する新たなニーズも高まっている．電気自動車にも搭載されている電力制御用半導体（パワー半導体）は，素子の過熱保護のために冷却を必要とする．この冷却循環用のウォーターポンプには防水用回転軸シールが内蔵されている．現在，このシール部品の機械損失の低減と耐久性の向上が求められており，ハイブリッドカーやEV，産業機器など幅広い分野において需要が見込まれている．また他方では，自然エネルギーへの関心の高まりから，小水力発電事業や海流発電事業に向けた研究が続けられている．このような水流エネルギー回収装置においても防水用回転軸シールは必要不可欠であり，シール部品に起因する機械損失の低減と耐久性の向上が求められている．先行研究において，潮流発電等を想定した低速回転，高耐圧仕様の低摩擦シールシステムを開発した．本報では，半導体デバイス冷却用ウォーターポンプへの内蔵を想定し，高速回転仕様の小型防水回転軸シールについて議論する．