強力吸引車の低騒音化に関する研究（インナーサイレンサ長さが共鳴音に及ぼす影響）

摘要

側溝清掃作業等に使用される強力吸引車（以下吸引車）は交通量の増加による交通混乱を避けるため，街中での使用は夜間に多くなってきている．夜間では特に静粛性が強く要求されるため低騒音化が必要である．吸引車の真空発生源は総合的に考えてルーツ式ブロワが適している．しかし，ルーツブロワでは接続された配管内の脈動が大きいなど，低騒音吸引車には不向きとされているものの低騒音化はあまり進hでいないのが現状である．吸引車の騒音は配管系の最終排出口からの騒音が大きく影響すると考えられるため，ルーツブロワ下流に消音器を設置する場合が多い．本研究では最終排出口の騒音が大きいことから騒音計測および周波数分析を行い，卓越した周波数成分からルーツブロワ下流に配置されている構成装置が共鳴を起こす要因になっていると判断した．そこで共鳴する箇所の探索と対策を試行錯誤により行った．その結果最終排出口兼冷却水捕集装置に種々の長さ（0～520mm）を有するインナーサイレンサを取り付けたところサイレンサ長さが470mmの時騒音の大きい150Hz成分において27.1dB（A）の低減が見られた．前回の報告ではインナーサイレンサ挿入により共鳴が回避された結果，このような劇的な低減効果が得られたと推定したが，その詳細については言及していない．そこで本研究では市販ソフトウェアWAON（BEM解析ソフトウェア）を用いてインナーサイレンサ挿入時における音圧レベルの周波数特性や音圧分布を求め，前報の推定の妥当性を検証した．