ケーブル諸元の影響を考慮した斜張橋の地震応答解析についての基礎検討

摘要

ケーブル支持構造物の一種である斜張橋は，ケーブルにより橋桁の質量を支えているので，橋桁自身が自重を支える負荷は少なくて済む．しかし，橋全体に対して占めるケーブルの質量の割合は小さくないため，ケーブルが橋の振動に与える影響が無視できない．従って，振動解析を行う際には，ケーブルと橋桁の連成振動を考慮する必要がある．斜張橋の連成振動に関する研究には，連成解析における妥当なケーブルモデルの検討を行った研究，実在する橋をモデル化して連成解析を行い減衰効果を調べた研究，簡単な解析モデルで系のダンピングや非線形振動について調べた研究などがある．しかし，静的たわみや固有振動数などのケーブルの特性の違いが連成振動に与える影響を解析的に検討した研究はほとhど行われていない．そこで著者らは，橋桁と4本のケーブルからなる斜張橋の簡易解析モデルで自由振動の解析を行い，連成振動におけるケーブルの特性の影響を調べた．本研究では，変位励振を受ける場合の斜張橋の振動に注目し，斜張橋が地震波によって加振された時の橋桁とケーブルの連成振動解析を行う．振動時の橋桁及びケーブルの時刻歴応答を確認することで，地震波入力時に橋桁とケーブルが相互に与える影響を調べる．