ステンレス鋼の大気腐食機構解明と耐候性評価技術の現状

摘要

ステンレス鋼は独特の重量感やデザイン特性に加え、高い耐食性を有するため重要な建築建材であり、塗装·メッキ鋼板などと並び大型建築物の外装を中心に多く用いられている。ステンレス鋼は基本的に無塗装で使用されるため、環境の腐食性に応じた材料選定が不可欠である。海塩付着量の多い地域で不用意に耐食性の低い鋼種を使用すると、塩化物イオンの侵食に耐えられず、使用開始後すぐに腐食する可能性がある。このため、ステンレス鋼の大気腐食特性（耐候性）に関しては、高耐食材料の開発に加え、その現象支配因子や素過程の解析などが精力的に進められている。本稿では、著者らの研究を中心に、さび発生による外観劣化を中心に、環境と材料の両側面からステンレス鋼の大気腐食評価技術について概観する。