手関節リハビリテーションを目的とした装着型パラレルリンク式訓練装置の開発: 屈曲·伸展動作と撓屈·尺屈動作を組み合わせた複合動作のリハビリテーシヨン

摘要

平成26年に行われた公益財団法人介護労働安定センターの行ったアンケート調査[1][2]から現場で働く理学療法士等の不足が指摘されている.このような問題を解決する為，療法士の支援と補助を目的とした訓練裝置の開発が進められている.既存のリハビリ訓練装置[3]の多くは動作機構としてシリアノレリンクを採用しており，関節数の増加に伴う誤差の累積が予想される.その為，一関節に対して複数の運動自由度を与えることが難しく，手関節のように運動自由度の高い関節への利用は限定的となる.このような問題へ対応する為，動作機構としてパラレルリンクを利用した訓練装置の開発が進められている.既存のパラレルリンクを利用した訓練装置[4][5]はアクチユエータとして空気圧シリンダを利用しており，位置決めの難しさやポンプの騷音が問題となる.本研究ではリニアサーボモータを採用することで運用を容易にできると考えた.本研究では上記の理由からサーボモータを採用した装着型パラレルリンク式訓練裝置を開発した[6].装置はリハビリの主要な対象であること，可動域の複雜さが明らかであることから手関節を対象とした.過去の研究[6]においては計測装置と訓練装置が別々の装置であった為，装着位置がわずかにずれることで訓練効果の低下が発生した.本研究では装置の改良を行い，両装置を一体にした装置を開発した.また，改良の際に装着部重量の軽減，動作範囲の拡大も実現した.本論文では開発した装置を用い，手関節の分回し動作のリハビリ訓練を想定した動作実験について示し，実験にる考察から本装置の有効性について示す.