合成硫化物の固体潤滑性に関する研究－金属硫化物の粒度が摩擦に及ぼす影響

摘要

世界レベルでの環境保護意識の高まりから，人体あるいは環境に対して有害な物質の使用が規制され始めている.摺動部材も例外ではなく，中でも固体潤滑剤として多用されている鉛は，深刻な中毒症状を引き起こすとして使用が厳しく制限され始めている.そこで鉛の代替となりうる材料として，「硫化物」が注目されている.硫化物は，それ自体に毒性は少なく，また資源量も豊富に存在し，低コストで合成することも可能である.また多くの硫化物が層状構造を有し，容易にせh断破壊するため，低摩擦係数が期待できる.本研究では，真空雰囲気において金属粉と硫黄粉から金属硫化物(硫化スズSnSや硫化銅Cu_2Sなど)を合成し，その合成硫化物がもつ固体潤滑性を評価している.本報では，合成した硫化物を青銅粉に混合後，焼結した試験片を用いて，硫化物粒度が摩擦特性に与える影響を調査した結果を報告する.