分子シミュレーションを活用した炭化チタン表面の潤滑性を向上する添加剤の設計·実証

摘要

近年，自動車や社会·産業インフラ等の分野において，小型化/性能向上/使用環境の多様化に伴い，トライボロジー材料が曝される使用環境は過酷化のトレンドにある。例えば，自動車部品の小型化により材料表面にかかる面圧は増大し，その表面にはより高い摩耗·疲労耐久性能が要求される。耐摩耗性·疲労強度に優れた長寿命な表面の形成が必要不可欠であるとともに，過酷な接触·摺動に耐え得る潤滑油も併せて必要である。本研究では，過酷環境における部品表面の耐摩耗性向上に向け，MC型金属炭化物の一種である炭化チタン（TiC) のトライボロジー特性を検討した。具体的には，分子シミュレーション手法を用いてTiC表面の電子状態を明らかにし，吸着性の高い添加剤をスクリーニングした。続いて，ブロックオンリング摩擦試験により，選定した添加剤の効果を検証した。