SP2/SP3構造比および窒素含有量が水素フリーDLC膜の摩擦特性に及ぼす影響

摘要

水素フリーDLC膜は、膜内の水素量が少ないことから潤滑油中の油性剤などが表面に物理吸善し、単分子膜の吸着層を形成することで、摩擦係数を大幅に低減すると考えている。つまり、この油性剤の物理吸着を膜の改善で加速することができれば、更なる摩擦係数の低減に繋がる可能性がある。そこで、水素フリーDLC膜の表面の炭素原子の結合状態や、いわゆる表面の濡れ性に着目し、DLC膜のSP2構造とSP3構造の比、及び水素含有DLC膜で濡れ性改善に有効と報告されている窒素添加方法について、水素フリーDLC膜をベースとした試料を準備し、膜の物性評価とPin/Disk型摩擦試験機による摩擦評価を実施し、それぞれの因子の影響を調べた。