リングオンプレート型すべり摩耗試験によるPA66/CaCO_3複合材料のトライボロジー特性に及ぼすCaCO_3の種類の影響

摘要

炭酸カルシウム（CaCO_3）は力学的特性向上や増量材用途として，ゴムや樹脂に広く使用されている無機充填材の一つである．特に化学合成法を用いることで粒子径や形状などが比較的容易に制御できるため，サブミクロンサイズ以下に微粒子化されたCaCO_3を樹脂に充填することで，耐衝撃性および弾性率などの物性や機能性の向上も大きく期待されている．しかしながら，機械しゅう動部材（トライボマテリアル）などに使用されるエンジニアリングプラスチック（エンプラ）に充填した研究例，特にトライボロジー特性に関するデータが少ないのが現状である．これまでに筆者らの研究室では新規高分子系トライボマテリアルの開発を目的に，ポリアミド（PA）などのエンプラにコロイドCaCO_3を充填した複合材料の各種物性に及ぼす表面処理の影響を中心に検討し，表面処理の種類により各種物性が大きく影響を受けることを明らかにしてきた．本研究では，PA66をマトリックス樹脂とし，粒径，形状および表面処理などが異なるCaCO_3を充填したPA66/CaCO_3複合材料のトライボロジー特性に及ぼすCaCO_3の種類の影響について，リングオンプレート型すべり摩耗試験機を用いて実験的に検討した結果を報告する．