水－グリコール系作動油中に添加したEDTA による複合体形成の摩擦係数および超音波音速測定による研究

摘要

二つの金属面が互いに接触して動いている条件では、強い圧力と熱によって金属面は酸化されて金属酸化物の被膜が生じる。この酸化被膜は化学的に活性で、種々の物質を吸着する性質がある。ジオール化合物であるポリエチレングリコール（PEG と略記）またはポリプロピレングリコール（PPG と略記）に水を添加した試料では、この金属酸化被膜にPEG、PPG または水分子が吸着したために、摩擦係数のジオール化合物への水添加割合依存性が観測された。この吸着現象をさらに詳細に解明するため、今回、PEG またはPPG と水の混合溶液に、新たにエチレンジアミン四酸塩(EDTA と略記)を任意の割合で添加し、ボールオンディスク式摩擦試験機により摩擦係数を測定して、金属表面上に形成される吸着膜および液体内部の構造を検討した。さらに、水-グリコール系作動油中の水の役割を検討するために、EDTA を添加したPEG またはPPG と水の混合溶液の超音波音速、密度、粘度および圧縮率を測定して、EDTA を含まない試料の測定結果と比較検討し、金属表面上およびバルク中に形成された水、潤滑油および添加剤分子の吸着膜および複合体の構造について検討した。