再生可能資源であるバイオエタノールの利用法として,低濃度エタノール水溶液の水蒸気改質による水素製造が選択肢となりうる。この方法は,従来の高濃度に濃縮しガソリンに添加する方法と比べ,濃縮の必要がないためエネルギーロスの少ないプロセスになる。エタノールの水蒸気改質の触媒としては安価なCo触媒が用いられ,エタノールの脱水素,アセトアルデヒドの水蒸気改質,水性ガスシフト反応の3つの過程を経て進行すると報告されている。しかし,炭素析出による活性劣化やメタンの副生が問題となる。炭素析出やメタン副生の抑制に対し,Co触媒への第二金属の添加や適切な担体の選択が有効であると報告されている。これまでに,脱水素の促進と中間体であるアルデヒドの吸着に期待が持たれる種々のアパタイト(M_(10)(ZO4)_6(OH)2)を担体とした Co 触媒の検討を行い,中でもSr_(10)(PO4)_6(OH)2(以下Sr-P)を担体とした時に最も高い活性,選択性を示すことを報告している。
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