微分型電気移動度分級器（DMA）伝達関数の30nm粒径域における高精度評価

摘要

微分型電気移動度分析器（DMA）の分級特性を示す伝達関数の評価手法にはMartinssonら（2001）が開発したMKF法がある。MKF法は3台のDMAに対して3つの組み合わせでタンデムDMA測定をし、データ解析を行うことにより、各DMAの伝達関数の理論からのずれを個別に絶対評価する手法である。我々はそのMKF法を用いて実際のDMA装置を校正する上で、流量などの誤差で生じたみかけの電気移動度のずれにより正確な伝達関数の評価ができない問題点を指摘しその解決方法を報告した。しかしその手法を適応した粒径は100nmのみである。一方、50nm以下の粒径域ではブラウン拡散によりDMAの伝達関数幅が理論値よりも広がることが知られており、それらの粒径域で単分散粒子の分布幅を測定するには伝達関数幅を厳密に決定する必要がある。またその粒径域ではブラウン拡散によりDMA内での粒子損失も大きくなり定量測定に誤差が生じる可能性がある。本研究ではブラウン拡散が問題となり得る粒径の例として約30nmの粒径におけるDMAの伝達関数評価をMKF法を用いて行う。またMkrtinssonらが評価してないTSIのNano－DMAの評価も行う。