沿道大気中におけるナノ粒子の実態解明（2）EC／OC·有機化合物·元素の粒径別組成の特徴

摘要

本報では，前演題に続き，川崎市池上新町交差点の直近で採取した大気中粒子の組成分析を行った結果を報告する。大気中粒子の組成は，TSPやSPM，PM_(2.5)等については多くの測定例があるが，粒径別の組成を網羅的に測定した例は少ない。特に，粒径50nm程度以下の粒子（以下「ナノ粒子」）は，捕集や分析が難しいなどの理由で測定例は少なく，その組成や発生メカニズムは十分明らかになっていない。我々は，これまでに，沿道大気やディーゼル車排気中に高濃度のナノ粒子が存在することや，沿道では粒子数濃度が20～30nm付近と60～90nm付近に二つのピークをもつ分布となり，そのうち20～30nm付近のいわゆる核モード粒子は揮発性の比較的高い成分が主であることなどを明らかにしてきた。本研究では，沿道大気中に含まれるナノ～マイクロメートルサイズの粒子の粒径別組成（元素状炭素／有機炭素（EC/OC），有機成分，元素）を明らかにし，ナノ粒子の発生メカニズムに関する知見を得ることを目的に研究を行った。