局部腐食（孔食）を促進する試験法に関する研究

摘要

鋼材の腐食は乾食と湿食に大別され，鉄橋やプラント設備といった鋼構造物の腐食は一部を除き湿食である．湿食は水と酸素の存在下で生じる腐食で，全面腐食と局部腐食に分類される．全面腐食は，鋼材表面が均一な環境にさらされた場合に生じ，一般的にその腐食速度は小さい．一方，局部腐食は，環境や鋼材表面の状態が不均一な事で腐食が局部的に集中する現象であり，腐食箇所が固定されるため全面腐食に比べて腐食速度は大きくなる．更に，腐食が深さ方向に進行するため鋼材厚みの減少に繋がり，構造物の耐久性に及ぼす影響が大きい．つまり，塗装鋼構造物の腐食による寿命は，この局部腐食で起きる深さ方向への腐食速度に大きく依存すると考えられる．そこで我々は，塗装鋼材の耐用期間の推定のために，孔食に代表されるような局部腐食を再現し，鋼材厚みを減少させる事に重点を置いた促進腐食試験について検討した．