コンクリートの中性化による亜鉛の脱不働態化挙動

摘要

健全なコンクリート中において鉄筋は不働態化しているが，コンクリートの中性化や塩化物イオンの浸透により脱不働態化が起こる．コンクリート構造物の長寿命化のため，亜鉛めっき鉄筋の適用が検討されている．亜鉛めっき鉄筋はコンクリート環境において，初期腐食の発生後，表面にCa(Zn(OH)_3)_2·2H_2Oが形成されることで不働態化することが報告されている．その後，脱不働態化することがわかっているが，その脱不働態化条件は測定環境に依存していて統一的でなく，脱不働態化過程での皮膜変化も明らかでない．これまで脱不働態化に及ぼす塩化物イオンの影響について明らかにしてきた（材料と環境2019で報告）が，本研究では，中性化したコンクリート模擬環境において，電気化学インピーダンス（EIS）測定および皮膜分析を行い，亜鉛と炭素鋼の脱不働態化挙動を比較した．またコンクリート環境中におけるpHモニタリング法を検討した．