高速度工具鋼(SKH51)焼入れ－焼もどし材の組織と機械的性質に関する研究（曲げ－ねじり複合負荷下の強度特性）

摘要

高速度工具鋼は，超硬合金やサーメット等の粉末冶金法で製造される材料とは異なり，熱処理（焼入れ，焼もどし）によって多種の合金炭化物を固溶，析出させることにより，強度を向上させた材料である．また，超硬合金等よりじh性が高いことから，ドリル，タップ等の過酷な条件下で使用される切削工具に用いられる．切削工具は，加工時に曲げ－ねじりの複合負荷を繰り返しうけるため，耐摩耗性に加え，じh性や耐疲労強度が必要とされる．従って，複合負荷下における強度評価が不可欠である．しかし，高速度工具鋼における強度評価は，曲げ試験によるものが多く，複合負荷下での静的強度や疲労強度についてのデータは少ない．本研究では，曲げ－ねじり複合負荷試験を行うための冶具を製作し，二次硬化材の複合負荷下における強度特性について調べた．