SGS力とSGSエネルギー輸送を考慮したSGSモデルの改善

摘要

大きな渦は直接計算し，格子サイズ（subgrid scale: SGS)以下の渦はモデル化を行う，large-eddy simulation (LES)は，コンピュータの進展に伴い，乱流の数値シミュレーションにとって重要な計算手法となってきている.代表的なSGSモデルであるSmagorinskyモデルは，渦粘性型のモデルであり，十分なSGSエネルギーの散逸を与えることが可能である.一方で，そのSGSエネルギー輸送の空間分布は，DNSで得られた流れ場に空間フィルタを施すことで得られる真のエネルギー輸送分布と比較して，相関が高くないことが知られている.この相関を改善するために，SGS応力テンソルに相似な項がClarkらやBardinaによって提案されている.ここでは，それらの相似項を，それぞれClark項，Bardina項と呼ぶことにする.これらの相似項は，DNS結果をフィルタ化して得られる真のSGS エネルギー輸送や真のSGSテンソル分布と高い相関を与えるが，SGSエネルギー輸送量を少なく予測してしまう.そこで本研究では，（a)楕円形バーガーズ渦周りのSGS力とSGSエネルギー輸送の結果と（b)安倍モデルで利用されている相似項の混合方法，の2点に基づく SGSモデルの改善を検討した.提案したSGSモデルはRe_τ = 180と590のチャネル乱流で性能を評価した.