静止気体中でプラズマアクチュエータが誘起する流れ場特性：体積力モデルによる数値解析とシュリーレン可視化実験の比較と考察

摘要

本研究では小型流体制御機器の一つであるプラズマアクチュエータの誘起流れについて議論を行う。これまでのプラズマアクチュエータに関する研究は、効果的な剥離制御の実現を目指した基礎研究が多くなされ、その有用性が示されてきた。現在、より実用的な流体機器·輸送機器での性能向上が期待され、注目を集めている。プラズマアクチュエータを用いた気流制御を実問題で適用している一例として、田中らによる風力発電所で利用されている風車についての研究があげられる。彼らの報告では、ブレード長が約30メートルもあるブレード前縁部に長さ8メートルのプラズマアクチュエータを3枚取り付け、各電極位置の相対速度に応じてパルス変調周波数で制御することで、平均14%の出力の増加を確認している。この発電量の増加はアクチュエータの駆動に要する電力量より大きいため、発電量の観点からアクチュエータにより風車の性能が向上したといえる。今後詳細解析に基づくメカニズムの解明や最適化により更なる性能向上が期待されている。