磁気インフレーションによる人工磁気圏を利用した先進的宇宙推進システムの電磁流体解析

摘要

噴射プラズマのパラメータを最適化し，リングカレントインフレーションの有効性を実証するためには，実験だけでは難しいため，数値解析によって研究が行われている.磁気プラズマセイルにおけるプラズマと磁場の干渉現象（リングカレントインフレーションと太陽風一磁気圏干渉）には，幅広いスケールの現象が含まれており，粒子の運動論的効果を取り入れた解析(Full-PIC法，Hybrid法）から，連続体近似に基づいた電磁流体（MHD）解析までを統合的に行ってゆく必要がある．特にMHD解析の役割としては，（1）他の計算方法よりも計算コストが低いため，大規模な範囲での流れ場の解析ができる，（2）高周波成分の擾乱が取り除かれた解が得られるため，太陽風と宇宙機磁場との干渉を大局的に把握することができる，といったことが挙げられる．本研究では，理想電磁流体シミュレーションにより，噴射プラズマの質量流量とβ値（噴射地点でのプラズマ圧力と磁気圧の比率），噴射位置を変えてパラメータサーベイを行い，MPSの推力特性との関係を明らかにすることを目的とする．