巨大津波発生時の淀川大堰上流部における塩水挙動解析

摘要

淀川は，その源を滋賀県山間部に発する大小支川を琵琶湖に集め，大津市から南流し，桂川と木津川を合わせて大阪平野を西南に流れ，途中神崎川及び淀川大堰で大川(旧淀川)を分派して大阪湾に注ぐ，幹川流路延長75km，流域面積8,240km の一級河川である．淀川には，流域に暮らす人々の生活や産業に必要不可欠な水を供給するため，様々な水道事業体の取水口が設けられている．しかし，近い将来発生が予測されている東南海·南海地震時，津波は淀川を遡上し，河口から約10km 上流の淀川大堰を越流する可能性がある．この津波遡上に伴う塩水が，淀川大堰上流部にある浄水場の取水口に到達し，浄水場の水処理に影響を与えることが懸念される．鮫島ら1)は，これまで淀川への河川遡上津波の計算には，平面2次元モデルを，塩水挙動解析には，鉛直2 次元ボックスモデルを用い，淀川での津波遡上時の塩水遡上解析を行っている．本研究では，淀川大堰から上流への津波遡上に伴う塩水挙動の予測を平面2 次元及び3 次元数値解析によって行い，浄水場の取水影響の評価を目的とする．