加工工程設計支援システムに関する研究（第3 報）－多数の穴と段差をもつ工作物の場合への拡張

摘要

近年，多軸制御マシニングセンタや複合型工作機械の開発が進み，完成までに多数の工具と工程を必要とする工作物の加工が1 台の工作機械で実施できるようになってきた．このような工作物の機械加工においては，加工時間や加工コスト，切削抵抗，消費動力（電力）などの生産性や力学に関連する諸量のみならず，仕上げ面品位に関わる加工誤差や仕上げ面粗さも加工順序の影響を受けることがある．そして工具，工程数の増大に伴って加工順序の組み合わせは急増し，生産性や仕上げ面品位を考慮して最適な工程設計を短時間で行うことは困難となる．これまでに，最短経路問題のアルゴリズムを利用した，加工工程設計のための支援システムを提案した．本報告では，実際の加工現場で多く見られる多数の穴と段差をもつ工作物を加工する場合をとりあげ，欲張り法のアルゴリズムを適用することで最短経路と最短加工時間の解析を試みた．提案したシステムによって得られた加工順序と作業者によって設計された加工順序の比較から，解析結果の妥当性を検討した.