マシニングセンタに発生する幾何偏差の高精度検出－反射回数とロール測定精度の関係

摘要

工作機械には，テーブルやコラムなどの移動に伴い位置偏差(運動方向の位置偏差，運動方向に直角な2 方向の直進偏差)と角度偏差(ピッチ，ヨー，ロール)が発生する．これらの幾何偏差を高精度に測定できる装置としてレーザ測長機が一般的に用いられている. しかし，実用的な干渉計と反射鏡が開発されていないためロール測定だけは未だに困難であり，測定には精密水準器を代用している．しかし水準器によるロール測定では，移動機構の移動に伴う機械重心の移動が機械全体の倒れの原因となり, 測定値に影響を及ぼす可能性がある．また，鉛直移動体に発生するロールについては水準器を使用できないという問題がある. そこで本報ではロールの測定に着目し, 測定感度を向上させるためレーザの往復回数(反射回数)を従来に比べ増加させて実験を行った．その結果, レーザの往復回数と感度の関係を確認することができたので報告する．