RECS コンセプトに基づく保護色マークと赤外線を用いたホームロボットによる食器片付け作業

摘要

急速な高齢化社会の到来に伴い，実用的な福祉·ホームロボットの開発が差し迫った課題である．我々はロボットタスクの課題を全てロボット側に負わせるのでなく，環境側にもこれを負担してもらい，作業の実現を容易にするRECS (Robot Environment Compromise System ) コンセプトを提唱している．その一環として，対象物に不可視マークを付与するという環境改変を行い，ロボットの画像処理を容易にするシステムを提案し，食器用の認識マークや，移動ロボットのナビゲーションに使用する天井マークを開発済みである[2]．これまでの研究では紫外線を照射した時のみ発色するフォトクロミック材料を用いて不可視マークを作製していた．しかし，紫外線の光源と照射された物体が紫色として人の目に見えてしまう事や，不可視マークが発色時に人の目に見えてしまうという問題点があった．そこで本研究では，色つきの赤外線透過可視光吸収フィルムを用いた保護色マークという新たなマークを提案し，その開発を行う．紫外線の代わりに赤外線を用いることで，光源，光，照射物が発光している様子は人の目には見えない．またマークは保護色の効果により目立たなくなる．マークを半径が既知である食器の縁の4箇所に付与して，それらを画像認識することにより，食器のカメラ座標系における位置·姿勢を求めることができる．ロボットの認識処理中，人間がその処理に気付くことがなく，提案したマークはRECSコンセプトに適しているものと考える(図1)．