漆器製造工程における漆面の表面性状評価

摘要

わが国の漆器産業は，後継者不足や，伝統的に用いられてきた原材料の入手困難性，輸入漆器との競争激化など，さまざまな課題に直面している．このような環境下で，漆器製造技術を維持·向上させるためには，製造工程における諸現象を生産工学の視点で解明することも重要であろう．漆器の製造工程では，木地加工をしたあと，漆の塗りと研ぎの工程が繰り返される．これによって，表面を徐々に平滑にしていく．しかし，これまで製造工程における表面性状の変化の過程を明らかにし，工程ごとの平滑化作用を検討した研究はほとhど見あたらない．そこで本研究では，伝統的技法ならびに工業的技法による漆面の表面性状を高精度に計測して評価した．その結果，いくつかの知見が得られたので報告する．