のこぎり歯形状を有する表面によるサブミリサイズマイクロパーツの水平対称振動輸送～フィーダ表面における摩擦の方向性に関する検証

摘要

筆者らは，図1に示す，のこぎり歯形表面を有するマイクロパーツフィーダを提案している[1]．この機構は，振動式フィーダの表面にのこぎり歯形状の溝加工を施し，マイクロパーツとフィーダの接触条件を正負方向で変化させることで，対称な水平振動による一方向輸送を実現する．本報では，セラミックチップコンデンサの摩擦角を計測することにより，フィーダ表面の摩擦係数および凝着力を検証する．とくに，フィーダ表面の傾斜方向を正方向とした場合と負方向とした場合それぞれについて計測することにより，摩擦の方向性を検証する．また，サブミリ以下のスケールを有するマイクロパーツの運動においては，慣性力だけでなく，フィーダ表面から受ける摩擦力や凝着力の影響をも考慮する必要がある．パーツの大きさが小さいほど慣性力が得にくいだけでなく，慣性力に対する凝着力の比が大きくなり，パーツの運動特性は凝着力が支配的になる傾向を示す．凝着力は，周囲の湿度に影響をうける．そこで，異なる湿度条件下で摩擦角計測実験を行い，湿度が摩擦角におよぼす影響を検証する．