ドリル加工における鋼材のバリ生成に及ぼす加工条件の影響

摘要

ドリル加工は穴あけ加工のなかで最も広く用いられる方法であるが,貫通穴を加工する場合に特にその出口側で大きいバリを形成しやすい.バリは機械部品においては有害であり,取り扱いでトラブルが生じるだけでなく,摺動部品に適用されるときにはバリの脱落により異物として混入するなどの問題がある.そのためにドリル加工後にはバリ取りやエッジ仕上げ工程を実施する場合がほとhどである.バリの生成を抑制し小さくすることができれば,バリ取り工程における除去量も少なくて済むため,部品加工の能率向上を図ることができる.これまでドリル加工によるバリ形状の研究は加工法や工具の形状の効果について検討されている.しかし,ドリル加工におけるバリの生成はドリルの形状,加工条件および被削材の材質など影響因子が多く極めて複雑な現象であることから,そのメカニズムも充分に解明されていないのが現状である.そこで本研究では,鋼材のバリの生成機構について高速度カメラを用いたその場観察を実施し,またバリ生成に関する加工条件の影響を明らかにするために鋼材の高温強度特性との関係に着目して検討した.以下にその検討した内容について報告する.