ステンレス鋼のエンドミル-バニシング法における加工条件が加工面品位に及ぼす影響

摘要

我々はエンドミルの微小切込み切削加工によるバニシング作用を活用し，マシニングセンタ上の加工工程のみで段取り替えなしに高品位な加工面を実現できる新たな精密加工法であるエンドミル-バニシング法を提案している．本研究では，ステンレス鋼SUS304の表面粗さ，硬度，残留応力および結晶構造に着目し，エンドミル-バニシング法の加工条件との関係を調べた．その結果，切削速度Vc＝20m／min，1刃当たりの送り量f＝2μm/toothの加工条件において，X線による応力測定で1191MPaの高い圧縮残留応力を有する高硬度で良好な平滑面が得られた．また，その時の加工面にはマルテンサイト相が確認されたため，切削抵抗を詳細に解析して相変態誘起との関係を考察し，最適加工条件の検討を行った．