高機能マイクロデバイスの開発 (第四報)－PC/CNT ナノコンポジットフィルムのマイクロ·ナノインプリント

摘要

近年MEMS 分野における成形加工技術としてナノインプリントが注目されている．ナノインプリントは90 年代半ばにChou らにより提唱された半導体技術を背景とする成形技術であり，ナノオーダーのパターン転写によるマイクロデバイスの製造法として研究が進められている．しかし現在，ナノインプリントの要素技術としてモールドの作製方法およびナノインプリント装置に関する報告があるが，被加工材となる樹脂シートに強化フィラーを添加したコンポジットシートの転写性についての研究は見当たらない．本研究ではこれまでに，マイクロ機能部品を成形するための素材としてCNT の一種である気相成長炭素繊維VGCF(Vapor Grown Carbon Fiber)を用いて，結晶性樹脂のポリプロピレン(PP) 中においてその配向性を高めた高配向性PP/CNT ナノカーボンコンポジットフィルムを製造する技術を確立した．また，このフィルムのマイクロ·ナノインプリント(以下M/Nインプリント)転写性について調査した結果，VGCF 添加によるフィルムの粘弾性特性の変化に起因してフィルムの転写性が改善することを明らかにした．本報では，母材を非晶性のエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート(PC)とする高配向性PC/CNT ナノカーボンコンポジットフィルムを作製し，そのフィルムにM/N インプリントを施すことによりナノカーボンコンポジットフィルムの転写性に及ぼすVGCF 添加量，成形条件および母材樹脂の影響について調査した．