コンプライアントメカニズムのトポロジカルデリバティブを用いたレベルセット法に基づく構造最適化

摘要

コンプライアントメカニズムとは，構造の柔軟性を積極的に利用し，構造一体で機構の機能を実現する機構のことである．コンプライントメカニズムはその形状的特徴より，多くの利点を持ち，機械部品だけでなく，医療部品，MEMS などの広い分野においての適用が検討されている．このようなコンプライアントメカニズムの形状設計は，設計者の勘と経験に基づいた多くの試行錯誤によって行われているため，必ずしも高性能な形状の設計に至っていないのが現状である．また，トポロジー最適化に基づく方法が提案されているが，明確な外形形状を表現できないグレースケールを含む問題や，構造が一点で接触するヒンジ構造を解として許容することにより，工学的に意味のある構造が得られない問題を持つ．そこで本研究では，新しい構造最適化の方法である，レベルセット法に基づく構造最適化をコンプライアントメカニズムの最適設計問題に適用することで，工学的に意味のある最適構造を得る方法を提案する．