パッチ分割切削法における曲面への規則的表面模様形成～微小凹凸表面の形成

摘要

複雑な形状を加工するために，5軸制御マシニングセンタによるボールエンドミル加工が広く用いられているが，ボールエンドミルで表面を加工するとカスプやカッタマークが残る．金型などでは磨きによりこれらを除去するが，逆にこれらを積極的に利用し，工具移動時間を調整することで加工表面に所望の凹凸模様を創成する方法が提案されている．著者らは平面上の正三角形パッチ内にボールエンドミルを用いて規則的な凹凸模様を形成するパッチ分割切削法を考案した．更に，その適用範囲を自由曲面に拡張すると共に3)，任意の形状の三角形パッチに対しても凹凸模様配列を直交格子状に整列させる制御に成功した．この手法を微細表面加工に適用し，表面に微小な凹凸模様を任意に形成できれば，装飾性の高い模様となるだけでなく，摩擦力や撥水性などの機械的特性の向上5)も期待できる．そこで，本報ではパッチ分割切削法を用いてマイクロスケールの凹凸表面を作成し，撥水性の評価を行ったので報告する．