超音波ミリングにおける工具挙動の解析－工具軸方向の超音波振動が加工精度に与える影響

摘要

微細プラスチック射出成形やプレス成形金型などに対して，小径で高アスペクト比の切削·研削工具による微細深穴や深溝加工が要求されている．しかしながら，それらの小径高アスペクト比工具による切削あるいは研削加工においては，図1に示すように，切削抵抗による工具のたわみやびびりが問題となり，加工精度不良，加工能率低下，あるいは工具寿命低下などの問題点が発生する．その問題点に対し，本研究では，前述の小径高アスペクト比工具による転削加工に対して，超音波振動切削法を適用することを検討している．すなわち，同加工に対し周波数が数十kHz の超音波振動を付与することにより，超音波領域の周期での断続切削を行ない，隈部による不感性振動切削機構を発現することにより，同問題点である工具のたわみやびびりを抑制することを検討している．これまでの研究では，小径高アスペクト比のエンドミルによるミリングにおいて，工具を高速回転させ，工作物を超音波振動させる基礎的な切削テストを実施し，その結果，同工具のたわみを抑制することができ，精密金型加工が実現できそうなことを明らかにしてきた．本報では，まず，超音波ミリングを実施したときの切削面の性状に関して詳細に調査した．次に，工具のたわみ挙動に関して，FEM 解析を行った．それらの結果に関して報告する．