小型自走機械群による超精密生産機械システム第110報 二枚の板バネを用いた四点接地機構の開発

摘要

近年，携帯電話や半導体デバイスといった製品の量産を支える基盤技術として精密加工·作業技術が重要な位置づけとなっている．その発展は目覚しく，なおかつ精度はマイクロオーダーの壁を越え，ナノオーダーにまで達している．その一方で機械部品の精度向上に伴ってそれを実現するための加工機や作業ツールの大型化による作業能率の低下が指摘されている．こうした問題に対し我々の研究グループでは，小型な作業機器で精密作業を行う事をコンセプトに研究を行ってきた．その研究の中で開発されたのが，2 つの電磁石と4 つの積層型圧電素子から構成される「小型自走機械」と呼ばれる小型のロボットである．小型自走機械はXYθ 平面の独立な3 自由度に移動することが可能である．現在，本研究グループではXYθ型小型自走機械を微細作業でのステージや様々なツールの脚として利用することにより細胞操作システム，ナノインプリントシステムなどの実用的な微細作業システムの開発を行っている．この微細作業システムの問題の一つとして，従来型の小型自走機械は四点接地であるため四本脚のうちの一本は高さ調節機構として上下に動く可動脚が設置されていたが，可動脚をはめるためのV の字型の溝との摩耗が原因で動作の再現性が低下するという問題が懸念されていた．よって本研究では小型自走機械の再現性の向上を目指すため，二枚の板バネを用いた四点接地構造を提案し，その有効性を検証する．