磁性加工ジグを用いた磁気援用加工法に関する研究－円管内面の真円度に関する一考察

摘要

半導体製造関連や航空宇宙関連産業等で用いられる流体には高清浄度が求められており，流体輸送用配管内面には汚染物の付着や滞留を防ぐ意味から精密表面が要求される．配管内面の新しい仕上げ加工法として磁性粒子を用いた磁気援用加工法が提案されているが，厚肉円管内面に適用するには磁力（加工力）が弱く加工不能に陥る．このため，さらに新しい仕上げ加工法の開発が求められている．このニーズに応えるため，筆者らは，磁性加工ジグ利用法を提案し，磁性粒子利用法に比べて数十倍高い磁力（加工力）が得られ，厚肉円管の内面加工に適用できることを明らかにした4）．さらに，磁性加工ジグの磁気特性に着目して，磁性加工ジグを構成する永久磁石端面に磁性粒子を磁気吸着させて加工する手法についても提案した．ところで，磁性加工ジグには永久磁石が用いられる．このことから，反発磁場を利用する新しい考え方の提案とその効果が期待される．本研究は，反発磁場を用いる磁性加工ジグ利用法を提案している．まず，反発磁力と吸引磁力をそれぞれ測定して比較検討した．次に，反発磁場を用いる磁性加工ジグ利用法によって円管内面の真円度が改善できることを示した．さらに，反発磁場と吸引磁場を組み合わせた新しいタイプの磁性加工ジグによって，円管内面の形状精度を維持しながら面精度を改善できる手法があることを示した．