MEMSとマイクロマシンが鍵－マイクロ化学·バイオシステム

摘要

ガラスや樹脂などのマイクロチップにバイオや分析、化学合成などのさまざまな化学プロセスを集積する研究が注目されている。欧米では研究開発投資がやや減速基調のように見受けられるが、我が国ではさまざまな分野で産官学連携のプロジェクトが進められており、むしろ加速基調である。この違いは主として新しい科学研究領域と産業界に対する出口イメージにある。特に産業界では、より明確で具体的な製品イメージと産業創成に関心を寄せている。この違いは、ポストゲノムテクノロジーやプロテオミクスを支える技術として世界中で進められている電気泳動分析法のマイクロチップへの集積化と、より汎用的な化学システムを集積する我が国独自技術の研究とが連携し、バイオからマイクロ化学工場まで視野に入れた次世代化学技術としての期待感に由来するだろう。また基礎科学研究では、ナノへ向かう一連の動向の中で、化学とバイオ分野にも具体的なツールを提供している。このマイクロチップ化学技術の成否には、バルブやコネクターなどの流体制御デバイスからマイクロ／マクロインターフェースまで、MEMSやマイクロマシン技術に負うところが大きい。この講演では、マイクロ化学チップの現状と、実用化や産業創成への展望を、サイエンスとテクノロジーの両方の観点から展望する。