人工物生産における経済学的視点の導入手法に関する研究：リサイクル問題における一考察

摘要

そこで本研究では，経済学的な観点を導入して扱う際には，マーケットマイクロストラクチャー理論， 計算機実験，被験者実験の3 つの要件を基礎として扱うことが重要であると考える．マーケットマイクロストラクチャー理論は従来の新古典派経済学では不明確であったマーケットメカニズムに着目した理論であり，理論的なメカニズムという立場から人工物の生産の問題に対してアプローチできる．さらに計算機実験を用いることで，理論分析では所与であった消費者の嗜好や技術が変動するような状態を動的に追求できる．そして，実験室に仮想的な消費者社会を構築し被験者実験を用いることで理論や計算機実験の妥当性を検証したり，実際の人間の行動を分析することが可能となる．本稿では，これらの方法論について論じるとともに，例題として廃棄物回収プロセスに着目したリサイクル問題に関する分析を行っている．