需要抑制に対する需要家余剰の変化に基づくインセンティブの設定方法に関する基礎検討

摘要

夏の昼間など需給逼迫時の節電要請の有力な手段として，Demand Response（DR）が注目されている。一般にDRにはCritical Peak Pricing（CPP）とPeak-Time Rebate（PTR）がある。PTRは，電力会社からの要請に対し節電した電力量に応じて，電力会社が需要家にインセンティブを支払うことで電力の消費パターンを変化させる。DRの実証試験などを通して，電力供給コストに与える影響等はこれまでも分析がされてきたが，需要家に支払うインセンティブの適切な設定については議論の余地が残ると考えられる。そこで本稿では，需要家と発電会社の効用関数を仮定して社会的余剰問題を定義し，電力抑制実施後の需要家余剰の減少量をもとに適切なインセンティブを設定する方法を検討する。