顔料の光触媒活性を抑制した送電鉄塔用塗料の耐候性評価

摘要

経年により亜鉛めっきが減耗した送電鉄塔用の塗膜の多くは2層あるいは単層で構成され，塗膜の防錆寿命には塗膜外面の耐久性，すなわち耐候性が大きく影響する．送電鉄塔の多くは無彩色（灰色）や白色に塗装され，外面塗料は酸化チタン顔料（以下TiO_2）を含む．TiO_2は紫外線と水分の存在下で光触媒作用を発現する．高耐候性塗膜の支配的な劣化要因としてTiO_2の光触媒活性による樹脂の分解が報告されている．塗膜のTiO_2の光触媒反応の促進試験（以下HP-Xe試験）として過酸化水素水を噴霧するXenon照射試験が，自動車用塗料の耐候性試験として開発され，鋼製タンク外面用塗料の評価への適用事例が報告されている．筆者らは，HP-Xe 試験に着目し，光触媒活性を抑制したTiO_2 を使用した送電鉄塔用塗膜の耐候性について評価を行った．本報告では主に耐候性に優れた上塗用塗膜についてHP-Xe 試験などのラボでの促進耐候性試験と実環境での暴露試験を行い得られた知見について報告する．