レジリエントな豪雨·竜巻の観測予測システムの研究開発

摘要

我が国では近年、局地的な気象（いわゆるゲリラ豪雨や竜巻など）による甚大な被害が多発している（例えば、平成20年の局地的な大雨に伴う急激な増水による雑司が谷の下水道工事事故や、平成24年の土砂崩壊による京急線での脱線事故、平成25年の埼玉県越谷市等における竜巻被害）。ゲリラ豪雨や竜巻による災害を深刻化させている主な理由は、現象自体が急激に発達した積乱雲によりもたらされ、かつ非常に限られた場所で発生するため、既存の気象庁のレーダ等の気象観測網や気象予測技術では、これらの現象を詳細に検知することやその発達過程を早期に予測することは難しいためである。さらに、観測情報を適切に解析して予測に結びつけ、的確に利用者に伝達することも大きな課題となっている。この様な状況を打破するには、まず最新の科学技術を駆使して急激に発達する積乱雲を観測できる機器を開発することが必要である。その有力な観測手法の1つとしては最近開発されたフェーズドアレイ気象レーダをさらに降水の定量的な観測に適したマルチパラメータレーダ（MP）化することである。フェーズドアレイ技術により3次元データの取得が30秒程度で取得可能な上、MP 化することにより定量的な解析が可能となる。その上で観測情報を適切に解析し的確な予測に結び付けるとともに、これらの情報を交通機関や自治体での利用から国民の利用まで利用ニーズに合わせて応用することが必要になる。