シュレディンガー方程式に基づく確率的外乱を考慮した外乱オブザーバの設計法

摘要

半導体加工をはじめとする近年の産業技術の発展に伴い，産業用ロボットの高精度なモーションコントロールが要求されている。制御対象のパラメータ変動やモデルの不確かさに対してロバストかつ精密な動作を行うために，外乱オブザーバ（DOB）を用いた加速度制御を基盤とした多くの研究が行われてきた。しかしながらセンサノイズや分解能間の位置観測による確率的外乱の存在により，所望の精密な動作が達成できない問題が存在する。これに対しカルマンフィルタなどによる出力信号の最適推定により確率的外乱を考慮している研究が存在する。一方で確率的な現象を扱う分野として童子物理学は電子デバイスの小型化に欠かすことのできないものである。粒子に代表される量子物理学の世界において，位置や速度といった値は確率的に定まるものであり，従って物体の運動方程式も確率過程の項を含むシュレディンガー方程式として定義される。即ち，確率微分方程式によって量子物理学で示されるシュレディンガー方程式を導出することが可能となる。