汎用調節計の事業的制約とSACの改良の試み

摘要

本稿では、SACの汎用調節計への適用可能性の検討について報告し、合わせて汎用調節計の事業的制約について述べた。改良型のSACは、PIDに比較してロバスト安定性が向上したような制御アルゴリズムとして、PIDライクに活用できる可能性が見出せている。しかし、現段階では以下のような判断になる。制御技術は、多かれ少なかれ水平分業型の技術として産業界に導入される。特に汎用調節計は、最終流通先のユーザにとって、「PIDでは想定できない技術課題」を残してはならない。ゆえに、やはり実用化には不十分なのである。適応制御やロバスト制御を産業応用へと移管していく場合には、独自の高度化を追及することも貴重であるが、一方で、スタンダードな形を確立していくことも必要なのではないかと考える。極端に言えば、「ユーザにとって想定できない技術課題を残してはならない」のであり、「ユーザにとって想定できるスタンダードな技術課題」として広く共通認識が進むのであれば、技術課題であっても事業課題ではなくなる可能性もある。