燃料電池のための水素製造技術

摘要

固体高分子形燃料電池（PEFC）が，自動車用動力源，家庭用熱電供給源，および携帯電子機器用電力源として注目され，世界中で活発な開発競争が繰り広げられている。PEFCのための燃料水素を製造するための炭化水素系原料として，都市ガス（天然ガス：主成分はメタン），LPガス（液化石油ガス：おもに天然ガス由来の随伴ガス，主成分はプロパンとブタン），DME（ジメチルエーテル(CH_30CH_3):COとH_2の混合ガスまたはメタノールから合成），ガソリン，灯油などが想定されている。これらの炭化水素と水蒸気を反応させて水素を製造する方法は，水蒸気改質とよばれている。また，水素貯蔵系燃料である無機系（NaBH_4など）や有機系（ベンゼンやナフタレンなど）ケミカル·ハイドライドも注目されている。さらに，携帯機器のために，ダイレクト·メタノール型FC（DMFC）およびアルコール(特にメタノール)改質型FCについての研究開発が盛hである。本講演では，PEFCのために用いられる炭化水素およびメタノールの水蒸気改質プロセスを中心に，水素製造技術の現状と課題について触媒と反応システムの展望を試みる。