風力発電の出力安定化のための蓄電池制御方式（その4）バンク数制御概要と実証試験結果

摘要

風力発電は近年，技術革新や大型化による設置コストの低減，導入補助等の効果により風況の良い北海道，東北地方を中心に大規模風力発電システム（以下ウインドファームという）等の導入が進展してきている。しかしながら風力発電は出力変動が著しいため，連系した電力系統に悪影響を及ぼすことも懸念されており，今後導入量の増大に伴って，電力系統の品質（特に周波数）維持のため，出力変動対策が必要になると指摘されている。著者らは，多数の風力発電機を有するウインドファームに蓄電池システムを併設し，短周期（数秒から数十分程度以下）のウインドファーム出力変動を平滑化するための技術開発を行っており，平成17年1月より試験設備を用いた実証試験を行っている。蓄電池システムを経済的に運用するためには，運転中の損失（補機類を含む）を抑制することが不可欠である。本実証試験においては，4つのバンクに分割した蓄電池を，ウインドファーム発電機出力の合計値(以下，WF出力と略記)に応じて起動停止する「蓄電池バンク数制御」を採用し，出力変動平滑化する際の損失低減を行っている。本報告は，蓄電池バンク数制御の概要と実証試験結果について述べる。