電力エネルギーの有効利用による低炭素化社会に向けて－将来の大電力消費とその対応

摘要

電気エネルギーの国際的な消費の状況を見ると、OECE 諸国など先進国と途上国の間で、その利用状況に大きな開きがある。図1は世界各国の1 人当たりの電力使用量を縦軸に示し、横軸を蓄積人口で示したものである。各色付けされた矩形の面積が各国の電気エネルギー使用量であり、グラフの総面積が世界で消費される電気エネルギーに相当する。現在世界で消費される電気エネルギーは年間1 万6千TWh以上であり、CO_2 排出の32%に相当する(0.52657kg-CO_2/kWh: "Guidelines to Defra's GHG conversion factors for company reporting," Defra document, 2007.を用いて計算)。多くの人口を抱え、今後急速に産業が立ち上がり、人々の生活の質が向上してゆくと予想される中国やインドなどのエネルギー需要を支えつつ、全世界でのCO_2排出の削減を図るためには、先進諸国での電気エネルギーのより効率的な利用によるCO_2の削減と、今後電気エネルギーの利用が活発化する諸国での早い段階での高効率な電気エネルギー利用技術の展開が必要不可欠と考えられる。